【日本産科婦人科学会 周産期委員会「周産期における感染に関する小委員会」】新型コロナウイルス感染予防対策のWEBアンケートの結果報告書 2020/05/12 up!
【概要】
新型コロナウイルス感染予防対策のWEBアンケートの結果報告書
【要 旨】
日本産科婦人科学会 周産期委員会「周産期における感染に関する小委員会」が、産 科診療を行っている施設における、個人防護服あるいは防護具(PPE: Personal Protective Equipment)装着の現状と、妊婦の新型コロナウイルス感染の検査の実施状 況を明らかにすることを目的とした WEB アンケート調査を行った。2020 年 4 月 27 日か ら 5 月 1 日の間に、294 施設より回答を得た。 主要な結果として、 「ガウンタイプまたはワンピース式感染予防着・N95 マスク・2 重 手袋・ゴーグル・2 重手袋・キャップ、シューズカバー」の完全な PPE を行っているの は、医師は 7.1%の、助産師は 6.8%の施設であった。年間分娩数 351〜500 件の施設で 有意に多く採用されており、501 件以上の施設では、有意に採用率(3〜5%)が低かっ た。完全な PPE をしていない施設の約 9 割が、撥水性のガウンまたはエプロンを装着し ていた。ゴーグルまたはフェイスシールド装着は医師が 63%、助産師が 73%であった。 無症状妊婦の経腟分娩時に「標準的なガウンまたはエプロン・サージカルマスク・ゴー グルまたはフェイスシールド」を超える新型コロナウイルス用防護具を、医師は 65.0% の、助産師は 73.5%の施設で使用し、分娩数の多い施設でより高率に使用されていた。 一方で、過半数の施設で感染防護具の使用制限があり、N95 マスクおよびゴーグル・フ ェイスシールドが全くない施設がそれぞれ 6%、3%あり、本来は使い捨ての PPE を再 滅菌して使用している施設がそれぞれ 12%、14%あった。 PCR 検査について、経腟分娩予定妊婦は約 9%、予定帝切は 14%、緊急帝切は 17%、 外科手術患者(産科以外)では 15%の施設が、実施と回答した。「分娩のため入院した無 症状の妊婦および手術患者への PCR 検査を行っている」と回答した施設は 18 施設であ った。2 次調査を行った結果、全国で最低 8 施設において全妊婦に、うち 6 施設では外 科手術の全患者に PCR 検査を行っていた。しかし、一方で直近 1 週間の産婦人科の PCR 検査件数は、92%の施設が 0〜10 件であった。PCR 検査の実施が 1 週間あたり 50 検体 未満の施設が 61%を占め、著しく制限されていることがわかった。施設全体における 1週間の PCR 検査可能件数は、総合周産期母子医療センター、大学病院、および特定警 戒都道府県で有意に多かった。 今回の緊急調査によって、周産期医療を担う医療従事者の感染予防体制が脆弱である ことが判明し、パンデミック時の院内感染防止のための PPE 備蓄の必要性、および効率 的な感染スクリーニング検査の必要性が示された。
参照サイト:日本産科婦人科学会
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