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このサイトでは、分娩取扱医療機関情報を提供しています。
○「分娩取扱医療機関」は財団法人日本医療機能評価機構が運営する産科医療補償制度の2011年1月時点における参加医療機関リストを元に本サイトで作成し、定期的に更新しています。ただし、個々の医療機関の分娩取扱を絶対的に保証するものではありません。
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妊娠中に風疹含有ワクチン( 麻しん風しん混合ワクチン、 風しんワクチン)を誤って接種した場合の対応について   2013/05/21 up!

【概要】
妊娠中に風疹含有ワクチン(麻しん風しん混合ワクチン、風しんワクチン)を誤って接
種した場合の対応について

                                      2013年5月20日
  厚生労働科学研究費補助金新型インフルエンザ等新興・再興感染症研究事業 ワクチンにより予防可能な疾患に対する予防接種の科学的根拠の確立及び対策の向上に関する研究(研究代表者大石和徳)
  「妊婦の風疹り患および先天性風疹症候群の発生抑制等胎児期の罹患予防に関する研究」(分担研究者平原史樹)


 風疹の患者数が急増し、全国に拡大しています。風疹ウイルスの感染を予防すること
を目的に、風疹含有ワクチン(麻しん風しん混合ワクチン、風しんワクチン)の接種を希望する女性が増えていますが、妊娠に気付かずにワクチンを接種した場合の対応を記載いたしました。
 万が一、ワクチン接種した後に妊娠が分かった場合でも、世界的にみてもこれまでにワクチンによる先天性風疹症候群の発生報告はなく、その可能性は否定されているわけではありませんが、人工中絶等を考慮する必要はないと考えられます。
(風疹予防接種に関するガイドライン‐任意接種を実施する医師のために–国立感染症研究所感染症情報センター 2005年8月22日 
http://www.nih.go.jp/niid/images/idsc/disease/rubella/041119/041119guide.pdf より抜粋、11頁)
 また、『風しんワクチン接種後に妊娠が判明したり、避妊に失敗したりしても世界的にこれまで風疹ワクチンによる先天性風疹症候群の報告はない』とすでに診療ガイドラインでも述べられているところです。(産婦人科診療ガイドライン-産科編2011、248頁解説末尾参照)
 なお、麻しん風しん混合ワクチンならびに風しんワクチン添付文書には『妊娠可能な婦人においては、あらかじめ約1カ月間避妊した後接種すること、及びワクチン接種後約2カ月間は妊娠しないように注意させる。』とされておりますので接種前の説明、指導は大切です。
 一方、男性の場合、ワクチン接種後、避妊の必要性はありません。

■参考文献の1例;
da Silva e Sá GR, Camacho LA, Siqueira MM, Stavola MS, Ferreira DA.
Seroepidemiological profile of pregnant women after inadvertent rubella vaccination in the state of Rio de Janeiro, Brazil, 2001-2002
Rev Panam Salud Publica. 2006,19:371-8.;
 妊娠していることを知らずに風しん含有ワクチンの接種を行った症例、ならびにワクチン接種後30日以内に妊娠した症例、合計2,292人について検討したところ、
 –ワクチン接種後30日以内の風疹抗体測定でIgM抗体陰性、IgG抗体陽性であった女性(接種時、すでに風疹ウイルスに免疫があったと考えられる例)が316人(13.8
%)
 –IgM抗体陽性であった女性(接種時、風疹ウイルスに感受性であったと考えられる例)が288人(12.6%)
 –ワクチン接種後30日以上経過してからの抗体測定でIgM抗体陰性、IgG抗体陽性であった女性(接種時、すでに風疹ウイルスに免疫があったか、感受性であったか判断のつかない例)が1,576人(68.8%)であった。
 –ワクチン接種後IgM抗体が陽性であった妊婦(接種時、風疹ウイルスに感受性であったと考えられる例)の75%が、妊娠5週以内の接種であったとしているが、先天性風疹症候群の児の出生はみられなかった。
 -しかし、妊婦へのワクチン接種は避けることと、風疹ワクチン接種後1ヶ月間の受胎は避けるように推奨されている。

■なお、このような事例について、何らかの懸念がある場合には下記16施設(*)
で相談対応致します。
【北海道】
 北海道大学病院産科
【東北】
 東北公済病院産科・周産期センター
 宮城県立こども病院産科
【関東】
 三井記念病院産婦人科
 帝京大学附属溝口病院産婦人科
 国立成育医療研究センター周産期センター産科
 横浜市立大学附属病院産婦人科
 国立病院機構横浜医療センター産婦人科
【東海】
 名古屋市立大学病院産科婦人科
【北陸】
 石川県立中央病院産婦人科
【近畿】
 国立循環器病研究センター病院周産期・婦人科
 大阪府立母子保健総合医療センター産科
【中国】
 川崎医科大学附属病院産婦人科
【四国】
 国立病院機構香川小児病院産婦人科
【九州
 宮崎大学医学部附属病院産科婦人科
 九州大学病院産科婦人科
    (*):風疹罹患の恐れのある妊娠女性に対する2次相談施設
参照サイト:http://www.jaog.or.jp/medical/document/rubella_vaccine.pdf      関連キーワード: 周産期医療  感染症対策  風疹