周産期医療の広場 トピックス

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第39回日本産科婦人科医会学術集会 シンポジウム 周産期医療再生 ② 東京都の周産期医療システムの現状・課題と取り組み   2012/10/07 up!

【概要】
平成24年10月7日に行われたシンポジウム「周産期医療再生」の際使用されたパワーポイント資料の一部を演者の許可を得て公開いたします。
次は、東京都の周産期救急に関する最新情報を含む、日赤医療センターの杉本先生の発表です。


第39回日本産婦人科医会学術集会講演二次抄録

「東京都の周産期医療システムの現状・課題と取り組み」

1.人口動態と母子保健指標の動向:東京都の人口は、2009年には12,898,939人となったが、出生数は1990年以降年間10万人前後で変化はない。合計特殊出生率は1.12(2009年)と全国の1.37より低く、少子化が著しい。高年妊婦の増加、低出生体重児の増加は全国の傾向と同様である。2009年の乳児死亡率2.3、新生児死亡率1.1、周産期死亡率3.9は全国平均より低かった。妊産婦死亡率は最近の2004年以降は5以下であったが、2009年は7.5と特別に高い年であった。一方、医療資源の動向では、産科医と小児科医の減少、出産施設の減少が著しく、周産期臨床現場の過剰負担が続いている。

2.周産期医療の整備と周産期医療システムの再構築:東京都は、1996年にNICUの整備目標を200床とし、1997年より周産期医療対策事業を開始した。2008年には、総合周産期センターが9施設、地域周産期センターが14施設、NICU病床は207床まで整備され、当初の整備目標は達成された。しかし、出産施設数の減少、産科医と小児科医が減少するなかで、ハイリスク児の増加によりNICU病床不足は常態化し、搬送受け入れ困難事例が多発した。そうした中で2008年に発生した妊産婦脳血管障害事例2件の反省を踏まえて、周産期医療システムが再構築された。2009年3月に母体救命対応総合周産期母子医療センターを創設して3病院を指定、8月に周産期搬送コーディネーターを設置、12月にはNICUの新たな整備目標を2014年度末までに320床とした。

3. 周産期医療システムの現状:2012年10月現在、総合周産期センターが13施設、地域周産期センターが11施設、周産期連携病院が11施設あり、NICUは288床、MFICUは110床まで整備された。しかし、地域偏在が大きく、出生数の32%を占める多摩地域では、総合周産期センター2施設、地域周産期センター2施設、周産期連携病院4施設、NICUは57床と少ない。周産期母子医療センター24施設の2011年度実績は、母体搬送受入件数1,912件、受入率62%、新生児搬送受入件数1,541件、受入率88%、周産期搬送コーディネーター取扱件数417件であった。母体救命搬送システムの2009年3月~2012年3月の3年間の実績は、一般通報51件、転院搬送128件の合計179件で重篤・重症が72%であった。産科救急疾患では産後の出血性ショックが67件、産科DICが18件、合併救急疾患では脳血管障害が16件と多かった。妊産婦死亡例は10件で、2009年度7件、2010年度2件、2011年度1件と次第に減少しており、背景として、搬送判断の早期化、受入れ施設の対応能力向上等が推測される。妊産婦死亡の内訳は羊水塞栓症2件、出血性ショック2件、脳血管障害2件、肺血栓塞栓症1件、劇症型A群溶連菌感染症1件、原因不明の心肺停止2件であった。

4.今後の課題と取り組み:周産期医療システムの強化として、①区部と多摩地域との周産期医療における地域格差是正、②隣接・周辺県を包括する周産期医療ネットワークの構築、③常位胎盤早期剥離症例を中心とする胎児救急搬送システムの構築、④新生児低体温療法受入態勢の整備、等が現在取り組まれている。また、周産期ネットワークグループの組織化として、①地域ブロック内の周産期ネットワークの構築が8ブロック中の7ブロックで既に行われ、今後の方向性として、②オープン・セミオープンシステムの促進、③産科部門電子カルテの共通化、データベースの共有化、等が示されている。さらに、NICU等入院児の在宅等への移行支援では、①モデル事業が実施され、今後、②支援コーディネーターの配置、③在宅移行支援病床運営事業、④在宅療養児一時受入れ支援事業、⑤訪問看護師等研修会、および在宅小児科医研修会、等が考えられている。
 東京都では周産期医療システムの整備・強化により多くの問題が改善され、実績が認められた。しかし、安全・安心の周産期医療には、産科医と新生児科医の確保が前提であり、医師不足による周産期医療の危機はまだ続いている。

[参考文献]
1)杉本充弘:大都市における周産期医療システム(東京都).産婦の実際58:847-854,2009.
2)杉本充弘:産科救急疾患とその対策.産婦人科治療99:219-224,2009.
3)杉本充弘:診断未確定の重篤な症状.臨婦産64:49-56,2010.
4)東京都福祉保健局:人口動態統計(平成22年),2012.





第39回日本産婦人科学会学術集会シンポジウム「周産期医療再生」
座長:神戸大学 山崎 峰夫、大阪医科大学 亀谷 英輝
① 日本産科婦人科学会の取り組み
演者:北里大学教授 海野 信也
② 東京都の周産期医療システムの現状・課題と取り組み
演者:日本赤十字社医療センター副院長 杉本 充弘
③ 奈良で発生した事案説明
演者:奈良県立医科大学講師 佐道 俊幸
④ 事案検証と再発防止に対する取り組み-奈良県産婦人科医会
演者:元奈良県産婦人科医会長 平野 貞治
⑤ 周産期医療における奈良県の取り組み
演者:奈良県医療政策部部長 高城 亮
⑥ 全体討論
  • S第39回日本産婦人科医会学術集会「東京都周産期医療システム」2.ppt