周産期医療の広場 トピックス

このサイトでは、分娩取扱医療機関情報を提供しています。
○「分娩取扱医療機関」は財団法人日本医療機能評価機構が運営する産科医療補償制度の2011年1月時点における参加医療機関リストを元に本サイトで作成し、定期的に更新しています。ただし、個々の医療機関の分娩取扱を絶対的に保証するものではありません。
○「新生児低体温療法対応施設」は新生児低体温療法登録事業(http://www.babycooling.jp/)提供の「新生児低体温療法公開承認施設一覧」を元に作成し、公開しています。
○「産科危機的出血に対する動脈塞栓術を施行可能な病院」は日本インタベンショナルラジオロジー学会(日本IVR学会 http://www.jsivr.jp/)が公開しているリストを元に作成し、公開しています。
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母体安全への提言 【2010】 【2011 vol2】   2012/07/18 up!

【概要】
母体安全への提言2011     Vol.2
平成24年7月

妊産婦死亡症例検討評価委員会・日本産婦人科医会
平成23年度 厚生労働科学研究費補助金(成育疾患克服等次世代育成基盤研究事業)
「妊産婦死亡及び乳幼児死亡の原因究明と予防策に関する研究」
平成23年度 循環器病研究開発費
「妊産婦死亡の調査と分析センターとしての基盤研究」

1. はじめに
 2010年(平成22年)から、日本産婦人科医会によって、妊産婦死亡例の全例登録が開始されました。死亡症例は、同医会で匿名化され、われわれ「妊産婦死亡検討評価委員会」によって、死因や医療の評価、今後の予防対策などが議論されます。その上で、周産期医療の安全性を向上させるための提言を行っております。英国のCMACE(The Center for Maternal and Child Enquiries)は3年ごとに死因解析を行い、”Saving Mother’s Lives”として提言を発刊していますが、わが国では、より短期的にフィードバックを行うことで、より良い医療現場の早期的な改善が図れるものと期待し、毎年行いたいと考えております。したがって、提言の内容は、前回のリニューアルではなく、昨年の6提言に追加されたものであります。
 今回は5つの提言を追加しました。まず、未だ死亡原因のトップである産科出血による死亡を一人でも減少させることを目指しています。以前から指摘されているように、小規模な産科施設が散在している日本の分娩施設は、どうしても産科出血に対する安全性にハンデキャップがあります。しかし、高次施設や輸血センターとの有機的な連携を行うことによって、出血に強いシステムが構築できるものと信じております。実際、現場の先生方は並々ならぬご努力をされておられますが、現在、産婦人科診療に携わるマンパワー不足、(日赤の)血液センターの集約化など輸血事業を巡る問題が、この産科出血問題に大きく影を落としています。したがって、地域性を持った産科出血に対する具体的対策を立て、日頃からシミュレーションを行っていくことで、産科出血死を減少することができるのではと、提言の一つとしました。さらに、羊水塞栓症は、DICが先行する、いわゆる「子宮型羊水塞栓症」を含めると、わが国の妊産婦死亡原因の約30%となる重要な疾患であり、疾患の重症度とともに初期蘇生の良否が予後に大きく関わるため、この点を具体的に記載いたしました。さらに、妊産婦死亡の約40%を占める循環器病を中心とした間接産科的死亡に対しては、産婦人科医が、他診療科の医師と情報を共有することで、発生防止に努める必要があります。
 最後にお断りしなければならないことは、この「母体安全への提言」は、ガイドラインと違って、あくまでも今後の医学研究やシステムの改善を行うための提言であり、標準的医療を記載したものではありません。幸い、昨年に比べて、2011年(平成23年)は、約10例、妊産婦死亡が減少しております。この「母体安全への提言」が、さらなる減少に役立つことを願っております。最後に、情報提供をいただいた日本産婦人科医会の諸先生方、検討会で症例評価を行っていただいた委員の先生方に感謝いたします。
2012年6月
厚生労働科学研究費補助金(成育疾患克服等次世代育成基盤研究事業)
主任研究者 池田 智明

(昨年度版 「母体安全への提言2010」のpdfファイルもあわせてupしますので、ご活用下さい。)
  • PDF 母体安全への提言2011Vol.2.pdf
  • 母体安全への提言2010.pdf